日商簿記2級の合格を目指す人のほとんどが、日商簿記3級に合格した人ではないでしょうか。
日商簿記3級に一発でスムーズに合格された人でも、日商簿記2級は、出題範囲が広く、各論点の難易度の高いと感じた人も多いかと思います。
また、ご存知の人も多いと思いますが、日商簿記2級は、平成28年に出題範囲が大幅に改訂されたこともあり、出題範囲が大幅に増えて、各論点の難易度も上がりました。
ですから、実質的には、難易度が上がったように感じると思います。
しかしながら、為替手形や社債などの苦手な人が多い論点が、日商簿記2級の出題範囲から削除されたので、少しは負担は軽くなったようにも個人的には感じます。
そこで、今回は、「日商簿記2級の返品調整引当金の問題について、意味や流れや解き方」をお伝えしていきたいと思います。
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返品調整引当金とは?
まずは、返品調整引当金について、どのようなものをいうのか、お伝えしていきたいと思います。
返品調整引当金とは、簡単に言えば、
販売した商品について、将来、発生が見込まれる「商品の返品」の利益部分を引当金として、「負債」計上することです。
ちなみに、売上返品の処理は、売上値引や売上割戻と同じように、売上時の処理の逆仕訳して、売上の処理を取消していました。
しかし、返品調整引当金は、先ほど紹介した、売上返品や売上値引、売上割戻とは異なり、売上時の翌期以降に返品されることを過去の返品率から見込んで、算出することになります。
それでは、実際の会計処理としては、
➀返品調整引当金の繰り入れ
②返品時
これら2つが、返品調整引当金の会計処理の流れとなります。
それでは、個別に一つずつ説明していきたいと思います。
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➀返品調整引当金の繰り入れ
返品調整引当金の繰り入れは、当期末の売掛金残高に返品率と売上総利益率を乗じた金額を損益計算書の売上総利益から控除するとともに、同額を返品調整引当金として、貸借対照表の流動負債に計上します。
ですので、決算時に、この返品調整引当金を計上することになります。
算式としては、下記のようになります。
売掛金残高 × 返品率 × 売上総利益率 = 返品調整引当金
ちなみに、この返品率や売上総利益率は、問題文で与えられるので、それらを使用して、返品調整引当金を算出します。
それでは、例題で確認してみましょう。
例えば、×1年3月31日に売掛金残高10,000円(返品率10%、売上総利益率30%)の場合は、
10,000円 × 10% × 30% = 300円
仕訳としては、
返品調整引当金繰入(売上総利益から控除) 300円 / 返品調整引当金(流動負債) 300円
②返品時
返品時の会計処理は、前期に計上した返品調整引当金を取り崩すことになり、商品の原価部分について仕入勘定を用います。
仕訳としては、
仕入 ××× / 売掛金 ××××
返品調整引当金 ××
このようになります。
それでは、例題で確認してみましょう。
前期に販売した商品のうち、100円(原価70円)が返品された。前期に、返品調整引当金を300円設定している。
仕入 70円 / 売掛金 100円
返品調整引当金 30円
このような仕訳となります。
日商簿記2級では、問題文で原価部分については、与えられるので、それに従って解答しましょう。
このように、今回は、「日商簿記2級の返品調整引当金の問題について、意味や流れや解き方」をお伝えしました。
返品調整引当金は、販売した商品について、将来、発生が見込まれる「商品の返品」の利益部分を引当金として、「負債」計上することです。
返品調整引当金の会計処理は、下記のようになります。
➀返品調整引当金の繰り入れ
②返品時
返品調整引当金は、先ほどもお伝えしたように、問題文で返品率や売上総利益率などが与えられるので、それを用います。
ちなみに、法人税法上ですが、貸倒引当金と返品調整引当金のみが唯一引当金が認められています。
なぜなら、法人税法上は、原則として見積計上を認めていないからです。
ですので、会計上では賞与引当金や退職給付引当金などを計上するとは思いますが、法人税法上は、一切認められません。
ですから、少しのマメ知識として知っておくと良いでしょう。
少しでも参考になれば、幸いに思います。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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