日商簿記2級の合格を目指す人のほとんどが、日商簿記3級に合格した人ではないでしょうか。

 

日商簿記3級にスムーズに一発で合格した人でも、日商簿記2級の壁に苦しんでいることも多いと思います。

 

ご存知の人も多いとは思いますが、日商簿記2級は、出題範囲が大幅に改訂されたこともあり、出題範囲が大幅に増えて、各論点の難易度も上がりました。

 

ですから、不安に思っておられる人も多いのも確かです。

 

しかしながら、従来どうりに勉強すれば、日商簿記2級は必ず合格できるでしょう。

 

そこで、今回は、「日商簿記2級の変更論点である繰越利益剰余金について、意味や解き方」をお伝えしていきたいと思います。

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繰越利益剰余金とは?

繰越利益剰余金とは、簡単に言えば、

 

貸借対照表の一つで、その他利益剰余金のうち、当期末の当期純利益に、前期繰越利益と任意積立金の取り崩し額を加算して、剰余金の配当などを減算して算出されるのものを言います。

 

当期純利益 + 前期繰越利益、任意積立金の取り崩し額 - 剰余金の配当、任意積立金  = 繰越利益剰余金

 

このように、繰越利益剰余金は、会社の利益を指すものです。

 

ですから、繰越利益剰余金がぷらすであれば、その会社が現在黒字であることを意味します。

 

また、逆に、繰越利益剰余金がマイナスであれば、その会社は赤字であることを意味します。

 

それでは、続いて、日商簿記2級で処理が必要な会計処理の流れについて、お伝えしていきたいと思います。

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繰越利益剰余金の処分とは?

 

繰越利益剰余金の処分とは、簡単に言えば、会社の利益を株主に配分することを言います。

 

ちなみに、株主は会社に出資(投資)をし、その見返りとして、もし利益が出たら、会社は、株主に配当することとなっています。

 

ただ、その利益を配当をする際にも、無制限に株主に利益を配当しても良いのではなく、会社法と言うもので、配当しても良いという限度額を設けて、制限をしています。

 

その会社法での制限がなければ、せっかく出た会社の利益を場合によっては、会社は全ての利益を配当しかねないですからね。

 

もし利益の全てが配当となれば、会社の存続にも大きく関わるものですから。

 

それでは、具体的な処理を見ていきましょう。

 

例題

 

株主総会で、下記のように繰越利益剰余金の処分が行われました。

配当金 2,000円 任意積立金 1,500円 利益準備金 会社法に規定する額

資本金 200,000円 資本準備金 10,000円 利益準備金 20,000円

 

 

➀配当金の10分の1を計算する。

 

⇒ 2,000円 × 1/10 = 200円

 

 

②資本金の4分の1に達するのか、計算する。

 

利益準備金の積立額は、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の1/4に達するまでを限度として、積み立てることができます。

 

⇒ 200,000 × 1/4 - ( 10,000円 + 20,000円 )= 20,000円

 

 

③①と②のいずれか小さい額を利益準備金として積み立てる。

 

② 200円 < ③ 20,000円

 

⇒利益準備金 200円

 

④仕訳を切る

 

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰越利益剰余金 3,700 未払配当金 2,000
利益準備金 200
任意積立金 1,500

 

仕訳を切る際は、貸方から考えていきます。

 

まずは、貸方に、問題文より、「未払配当金」を2,000円立てます。

 

これは、配当金は未だ支払いが済んでいないことから、未払い配当金とします。

 

次に、①と②で計算した、資本準備金を貸方に200円立てます。

 

そして、問題文より、「任意積立金」を1,500円立てます。

 

最後に借方に、貸方の合計金額、3,700円を繰越利益剰余金として、立てます。

 

このような順序で、繰越利益剰余金の処分の問題を解いていくとよいでしょう。

 

そして、配当金が支払われた時(現金で支払い)に、未払配当金を取り崩します。

 

未払配当金 2,000円 / 現金預金 2,000円

 

これらが、利益剰余金の処分と支払いの一連の流れとなります。

 

特に気をつける部分としては、資本準備金の積み立てでしょう。

 

その資本準備金さえできるようになれば、繰越利益剰余金の処分については、大丈夫でしょう。

 

このように、今回は、「日商簿記2級の繰越利益剰余金やその他資本剰余金について、意味や解き方」をお伝えしました。

 

繰越利益剰余金とは、

 

簡単に言えば、会社の利益を株主に配分することを言います。

 

また、繰越利益剰余金の会計処理の流れとしては、

 

➀配当金の10分の1を計算する。

②資本金の4分の1に達するのか、計算する。

③①と②のいずれか小さい額を利益準備金として積み立てる。

④仕訳を切る

 

このように、繰越利益剰余金の処分は、会計処理をしていきます。

 

繰越利益剰余金の処分の問題は、流れさえつかんでしまえば、得意な論点とすることができます。

 

ですので、繰り返し演習をするようにして、習得を目指しましょう。

 

少しでも参考になれば、幸いに思います。

 

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

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